めぐみさん
インタビュー:kon.
“ただ言葉が並んでいるだけなのに”
(集英社ナツイチ2007)
上のキャッチコピーは
集英社が毎年開催する
文庫キャンペーンの2007年のもの。
今回のテーマにぴったりと思い、
引用させていただきました。
今回は、
日々「言葉」と丁寧に向き合う
めぐみさんのインタビューをお届けします。
いつも前向きで、自然体な彼女は
誰からも好かれる素敵な女性。
今回は
読書のこと、言葉のこと、
今まで深く聞いたことのなかった
めぐみさんの「好き」について
とことん伺ってきました。
▲めぐみさん
––––ブックマーケット楽しかったね。
すごく賑わっていて出版不況が嘘みたいだった。
楽しかった!
出版社それぞれの色があってこだわりの1冊を出していたね。
▲インタビューの直前に蔵前の
「ブックマーケット」に行きました。
––––めぐみさんはずっと本が好きだよね。
うん。それはもう小さい頃から。
毎週土曜日にお父さんと図書館に行ってた。
児童書の棚とかほとんど制覇してたよ。
本を手にとるのは私にとって自然なことなんだよね。
おやつを食べるのと同じように
「本が読みたい」ってなる。
––––うわあ、お父さんと娘が図書館に通う光景、すごく絵になるね。
そうなの(笑)
今は、通勤の電車の中で読んでるよ。
続きが気になると家に帰ってから夜中まで一気に読んじゃうこともある。
休日も読む。短い本は1日で読み切るしね。
一ヶ月で考えたら相当な数読んでるかもしれない。
本は図書館で借りることが多いよ。
▲めぐみさん愛用のブックカバー。
本の種類で使い分けるそう♪
––––ほぼ毎日本と触れてるんだ!
図書館で借りているんだね。
いつも本をどう選んでいるのか気になる!
単行本だと見た目の感じでジャケ借り?することもあるんだけど。笑
ほとんどは作家で決めてる。
この人の文章が好きだなってなったら、その作家さんの本を全部制覇したい派。
大学の頃は重松清さんが好きでほとんど読破した。
今、私とぴったり相性がいい作家さんは吉田修一さん。
––––そうなの!?
だいぶタイプが違う作家さんだと思うけど……それはどういう心境?
全然違うタイプだよね。
でもこれはね、私の中で根拠あるよ。
重松清さんの小説は温かくて優しくて、人間っていいなとなるのがよくて。
でも吉田修一さんは、人間は弱くて汚いっていうのが前提にある。
都会で暮らす若者のかすれた気持ちとかがリアルに描かれていて……。
吉田修一さんのその感じが今の自分には共感するところが多くて!
社会人経験が長くなって世の中の辛い部分もわかってきたからかな?(笑)
わかる部分にハマっちゃうんだよね。
私は、話の内容の前にその人の言葉のセンスで読んでるところがある。
文章のテンポもすごく大切。文章の良さがあってこそ内容が入ってくる。
たまに本を読んでる中でいいなと思った文章をノートに書いたりするんだけど……
▲めぐみさんの読書の記録
こうやって書いておくの、良い!
––––それ素敵だね!
良い言葉だと思っても時間が経つと忘れちゃうんだよね……。
そうなんだよね〜!
気に入った言葉は自分に残しておきたい。
吉田修一さんは言葉がうまいの。
書いておきたい言葉がたくさんある。
小さい頃から本が好きで、国語が好きで、う〜ん、一番は「言葉」が好きなんだ。
うん、私は書いてある言葉そのものが好き!(笑)
––––どういうことなんだろう、「言葉が好き」って。
けっこう昔から
"自分のこの気持ちを言葉にするとしたらどうやって書くかな”
って頭の中で考えるんだよね。
“しっくりくる言葉で言い表すには”
ってずっとずっと考える。
言葉にする過程で自分の気持ちともう一回向き合って、
言葉になった瞬間にばばばばって書いて。
––––よく自分の今の気持ちとか書き留めるの?
感情が溢れそうな時にはノートとかに書いとこうとする。
ただ、内容がすごすぎて絶対誰にも見せられない。
後から読むとその時の自分を思い出せていいんだけど、誰にも見せられないから墓場まで持ってく。
––––墓場行き……(笑)
私も昔の自分の日記とか読んで、感情むき出しの文を見つけると恥ずかしくなる。 その時にしか書けない文章だと思うと、なんとなく捨てられないんだけど。
そうそう!
中学の頃の文章とかすごいよね。
字もクセ字で、どうしてこの字を可愛いと思っていたのだろうと疑問。。
でもその時にしか浮かばない言葉ってあるよね。
振り返ってみると、自分の気持ちを言葉にして書くことはずっと続けてきたかな。
▲めぐみさんノート
(墓場行きの内容も気になる……笑)
––––なるほど。だから「言葉が好き」なんだね。
うん。読書好きというより言葉好きのほうがぴったりな感じがする。
きっかけかなって思うのは
高校の友達で「めぐみの言葉好き」って言ってくれる人が多かったことかな。
高校時代ブログをやっていたんだけど、それを読んだ友達が面白いって褒めてくれた。
それまでは読書が好きってだけだったけど、もしかしたら私、文章とか言葉で表すことが得意なのかもしれないと思った。
最近は結婚式のスピーチも
「絶対めぐみにやってもらいたいと思ってた」
って言ってもらったりして。
今まで読書とか自分の経験の中で
いろんな言葉が蓄積されてきて
言葉のセンスとか、感受性の部分で人に負けたくないなって思う。
––––うんうん、私もめぐみさんの言葉のチョイスが好きだなあ。 もらった手紙とか、嬉しくて何回も読んだよ。
そう言ってもらえて嬉しい。
実は、中学生くらいまでは優等生と思われるのが嫌で本が好きと人に言わなかった。
「本を読むのはいいこと」っていう世間の風潮みたいなものに昔から違和感を感じていて。
読書は真面目な人がやることみたいなの、あるよね。
––––確かに。 休日何してる? ってなった時に「読書」って言うと「偉いね」「すごいね」みたいに言われたことがあるよ。 映画とかなら「いいなあ、何観たの?」みたいに盛り上がるのにね。(笑)
そうなんだよね。
私にとって本を読むのは娯楽で、好きだから自然にやってる感じ。
「自分を高めたい」とか「成長したい」とか思ってやってない。好きだからやってる。
さっきも言ったけどほんと、
「おやつを食べる」の感覚で!
大学では本好きの人が周りに多くて、
本の内容を人と話すことも楽しいなと感じた。
––––読後の感想を言い合えるの、楽しいよね。 あ、最近のオススメの本も教えてほしいな。
最近のオススメは平野啓一郎さんの
『マチネの終わりに』
この本は、まさに誰かと話し合いたいと思う本。
普段は恋愛小説はほとんど読まないんだけど、オススメされて読んでみたらすごく良かった。
本によって自分が読んで終わりでいいものと
誰かに感想を聞きたいものがあるんだけど、
この本は特に他の人の感想とか「続きはどうなると思う?」を話し合いたい本。
人によって受け取り方が分かれる話だと思うから、みんなで話したら面白いと思う。
私も「この二人がこの後どうなると思うかを一緒に話したい」って言われて読んだんだ。
––––いいね!
私も早速読むから今度会う時にとことん話そう。
(この日にめぐみさんから本を借りたのです。)
是非、どう思ったか聞かせて!
本を読むとすごい考える。
頭の中でいろいろ考えるのが大好き。
登場人物が何かを感じ、行動するのを
「自分もそういうのやっちゃうな」とか、
「こういう時にこうふるまう人もいるのか」とか、本を読みながら自分の行動を振り返って共感したりはっとさせられたり。
話の内容に集中するのとは別のところで、登場人物と自分の性格を比べたり自分の友達に重ねたりしているよ。
読んでいて特に嬉しい瞬間は、
登場人物の心情がよくわかる時。
私はけっこう他人の細かい仕草とかを気にして生きちゃうほうなんだけど… …
あ、周りからはそう見られてないんだけどね。(笑)
自分と同じくらい頭で考えすぎている登場人物の描写を読むと、
“こういう生き方も悪くない”
って思う。
・
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この日、読書欲がむくむくと湧いた私は
めぐみさんオススメの
『マチネの終わりに』を
一気に読みました。
繊細で知的な文章に
「なんかいい。好き」
と、すぐ引き込まれました。
2人の壮大な物語は、
辛いし、もどかしいしけれど
なぜか強く憧れている自分がいました。
とても面白かった!
そして……
確かに他の人の感想が聞きたくなる!笑
ちなみに映画化が決定し、
来月1日から公開です。
公開前に皆さんも是非!!
✳︎
どんなことも面白く捉え
周りの人を楽しませるめぐみさんは
読書を通してたくさんの言葉と出会い
自分の中にインプットしていました。
最後に、めぐみさんにとっての
読書とは?
言葉とは?
という問いに
こんな答えを書いていただきました。
めぐみさんの話を聞いて
“私も自分の感じたことを
こだわって言葉にしていきたい”
“その為にも日々たくさんの
言葉に触れていきたい”
そんな風に心が躍りました。
自分の気持ちが動いた瞬間に
ぴったりの言葉で表現できたら素敵だな。
読書の秋
ますます楽しくなりそうです!
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