このみさんインタビュー:実耶
前編に引き続き
雑貨屋merry を営む
布作家のこのみさんにインタビュー!
↓前編はこちら。
私が興奮して撮りまくった
個展の写真と一緒にどうぞ!
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––––個展をやってよかったなと思うことはなんですか?
単純に大丈夫って思えた、生き方として。いろいろあったから自信がなさすぎるところがあって、自分がいいと思って作ったものを発表するってすごく勇気がいることだったんだけど、思った以上にみんなが褒めてくれた。あの2週間が人生でいちばん褒められたと思う。
そのときに大丈夫そうって思った。好きなことをやっていくことが自分の使命、みたいな。それでやっていけそう、私が可愛いって思っているもので大丈夫だって。
思っていた以上に私の意図していたものも伝わった。
私はわくわくするっていうことを一番大事にしたいから、作ったものや空間でわくわくしてほしいなっていうのが裏テーマとしてあって。
––––本当にわくわくしました、なんかディズニーランドみたいな場所だった。「何かやれそう!」みたいなエネルギーにあふれていました。
嬉しい!そうしたかったから。階段登ってきたときに「わぁ」ってなって欲しかった。
みんなが「ここで今日寝たい」とか「私の部屋みたい」とか、意図していたことも言ってくれて、自信になった。
あとは、いずれお店をやったときに、人の挑戦する気持ちを応援するお店にしたいと思っていて。人がチャレンジするきっかけになるお店にしたい。
それが裏の裏テーマみたいな感じだったんだけど、個展でもそう言ってもらうことが多くて。
「刺激を受けた」「家帰ったらミシンを出してみようと思う」とか言ってくれたり、
「今挑戦しようと思っていたことを、迷っていたけどやっぱりやってみようと思う」とか「もっと楽しく自分もできると思う」とか言ってくれたり、みんながキラキラして帰っていって、合ってる!みたいな。
私がやりたかったこととやっていることが、合ってるな~ってすごく嬉しくて。
その感覚はやってみなければ分からなかったことだし、みんなのそういう姿に自分もまた刺激をもらった。
私が何やら企んでいると、みんなが面白いって思ってくれるんだなと思ったら、これもやっていいな~みたいな自信がすごくついたと思う。
––––本当にこのみさんはアーティストだなって思います。
商業的に計算して心を掴むタイプっていうよりも、思いっきりやってくれたことで人の心が動く人だなって思いました。
それ最高の褒め言葉。そうやらせて貰えるのが私はいちばんいい。面白そう!って思ったことをワーってやった方が、たぶん合っていると思う。
––––それにみんなが引き寄せられるから、すごいです。
さっき自信の話があったじゃないですか。自信ってどうやってつくと思いますか?
わ、難しい。私今年に入ってからずっとそのことを考えている。
自己肯定感とか自尊心とか自信っていうものが、すっごく大事だと思っていて。
でも・・・私の場合は一人では無理です。まず、彼がいないと無理。彼がめちゃくちゃすごい。
めっちゃ励ましてくれるし、それが全く無理ない励まし方というか、根っからポジティブなのかもしれないけど、発想をひっくり返してくれる。
落ち込んでくると、自信がなくなって「こうかもしれない」「ああかもしれない」ってなってくるんだけど・・
––––超分かる、「私には何もできない」ってなってくる(笑)
そうそう!そうなったときに、「そんなことないよ」って何回落ち込んでも絶対言ってくれるから、それでちょっとずつ上乗せされてる。
最初の私とは絶対違うと思うな。
ちょうど1年くらい前は自信が本当になかったし、「もう何もできない」って思っていたけど、彼がそれを「何でもできる」に変えてくれた。彼は絶対に必要。
今は彼の思考のパターンを盗もうとしてる。「こういう状況だったらこう思うけど、どう思うの?」って。「僕だったらこうかなぁ」「そんな発想があるのか!」って心にメモしてる。
あとは兄弟もすごく仲がいいから、めちゃくちゃ私の活動を応援してくれる。
面白いのは、うちの兄弟はお互いにファンなんだよね。
私も電話するたびに「あんた本当にすごいよね」って全員に言っていて
あっちは「お姉ちゃんすごい」って言っている。
あとは友達とかだね。
一人じゃ全然自信なんてつかなかった。
個展だって、自信ついたけど、やれたのは絶対いちばんは彼のおかげ。
作るときもだいぶ落ちていたけど、励まして上げてくれていたから。
信じてもらっているっていうのもあるから、そういうのも自信になるよね。
––––たしかに、自分の力だけでつくものではないかもしれませんね。
「個展が出来るまで」にも書かれていたんですけど、布の魅力を教えてほしいです。
私からすると融通が利くところが魅力的。私はすっごい不器用だから、一発勝負とかはめちゃくちゃ緊張しちゃって絶対うまくいかないタイプなの。
布は切っちゃっても、切りすぎたら足して縫えばいいし、万が一何か全然違うところを切ってもそこを繕えばいい。
そのことがむしろプラスになって「繕った部分が可愛い」ってなったり、思ってもないアイデアが浮かんできたり、自由度が高いのが単純に私に合っていて、すごく魅力的。
▲端切れを縫い合わせて
––––このみさん不器用な感じしないですけどね。なんでも器用に出来るタイプじゃないですか?
いやいやいや。何㎝×何㎝に作ってくださいとかはめっちゃ苦手。そういう仕事はもう受けないって思っている。私はそれが出来ないし、あんまり可愛いとも思わないからやらないんだけど。
私は雑ではないんだけど、ゆるいものを丁寧に作ろうって思ってます。
あと、洗えば洗うほど可愛いってなんて良いんだろう、って。
––––「洗えば洗うほど可愛い」っていう感覚が、懐が深い気がします。
私は服とか「出来るだけ買った状態を維持しなきゃ」と思ってしまうので。
くたっとしてる感じとか、生地が薄くなってくるのとかめちゃくちゃ可愛いと私は思う。
だから、作品を買ってくれた人には「ガシガシ使ってください」って言う。みんな「勿体なくて」って言ってくれて、自分もそうだったからそれも分かるけど。
作る側になってその魅力を知ったら、もうどんどん使わなきゃ、使ってあげたい!みたいな。その方が、布が喜ぶっていうか・・なんかアーティストみたいなこと言ってる!(笑)
––––(笑)「布が喜んでるな」って瞬間とかありますか?
めっちゃある!その人にマッチしてるな、と思った瞬間とか。その人が着けてくれて使ってくれていたらそれだけで喜んでいると思うし、使い込んでいる人のを見ると「うわぁ~!(拍手)」って思う。
私が作ったものでも、他のものでも。愛がある使いこみ方というか、雑じゃない感じはやっぱり分かるから。その人の一部みたいになっているときとか、すごく可愛いと思う。
個展のとき、自分が作ったショルダーをずっとかけていたら、みんなが「それを欲しい」って言ってくれていたのは、そういうことかなって。
けっこうくたくたになっていたけど、たぶん私に馴染んでいたんだと思う。綺麗にかかっている状態よりも、使ってどんどんくたくたになっていく方が、みんなも気付いていないけど可愛いと思っていると思う。
––––うん、今しっくりきました。革を見たときも全く同じこと思います。
そうでしょ。なんかショップに行ったときって、ショップのお姉さんが着ている物が可愛く見えたりする。
ピカピカの状態で着ている店員さんを可愛いって思う人もいるかもしれないけど、私は何となく、ボタン一つ開けて袖折って、とかその人流にアレンジして、その人にぴったりな状態になっていると「あ、欲しい」ってなる。
「店員さんが可愛かったから買ったけど、家で見たらなんか私には似合わない」っていう人もいるけど、違うんだよ、ずっと着ていったらそうなるんだよって思う。
同じ服でも、着ていたらその人の癖がうつってきて、可愛くなっていく。
最初だけ可愛くて、どんどん可愛くなくなっていく服は、単純に劣悪な素材だったりする。本来はどんどん可愛くなると思う。
デニムも擦れる位置とか、使っていっての経年変化はみんな違う。そういう可愛さを持っているのは布だな~と思います。
––––なるほどなぁ。
布と出会ったのはいつですか?
母がすごく洋裁が得意で、小さいときから服を作ってくれていたから、ミシンがあるのが当たり前だった。ミシンで作業しているのもよく見ていたし、普通の光景で。だから、普通に縫いたいと思ったのが小3。
▲初めて縫った作品
初めて作ったのも小3。当時はフェルトとかが流行っていて。小学生って1回はやるよね。
▲ずっとお気に入りの
スヌーピーの裁縫箱
この裁縫箱を3年生のときにサンタさんに貰い、5年生のときにミシンをお願いして、おもちゃのミシンがきて。
そこが布の出会いなんだけど、中学校高校はほとんどやってない。バドミントン一色だったから。
大学に入って再燃して、でも自分が飽きっぽいって分かってたから、「3ヶ月欲しいって思ったらミシン買おう」って決めて、大学2年か3年のときに買って。
そのときもルームシューズとかカーテンとか結構作っていた。
––––飽きなかったんですね、そこからずっと。なんで飽きなかったんですかね。
なんでだろう・・・布好きなんだろうね、本当に。雑貨屋さんとか行ってもやっぱり古い布とかカフェのカーテンとかじーって見ちゃうし、洋服も好きだし。
大学のときは、生活に関わる物を自分の好きな物で揃えたいってなったら、買うより作った方が早い、って感じだったんだと思う。
––––自分が作ったもので囲まれている暮らしって豊かですね。
コースターとかね、ただ四つ角縫うだけでも全然違う。買ったものじゃなく自分が作ったもの使うっていうのは。巾着とかも作ってたな。
––––やっぱり作ったもの使うって楽しいですか?
うん!楽しい!それがやっぱりいちばん。鞄開けたときに自分が作ったものが入っていると、うきうきする。自分の作品を誰かが買ってそういう風に思ってもらいたいって思っている。
例えば私は教員のとき、しんどいときは自分の作品とか、可愛い生地とかハンカチを机に置いて丸つけしていた。
なるべく自分カラーにしたいって。
こいつとか置いていたし、授業にも持って行ってた。
▲靴下をリメイクしたお人形
海外では定番のハンドメイドだそう
––––素敵!自分がわくわくするのが大事ですよね!
最後にこれからやりたいことってありますか?
段階を踏んで言うと、手作り市にいっぱい出たい。全国各地に行って、知り合いが増えたらいいなって思うし。
もちろん最終は雑貨とカフェのお店を大阪でやりたいです。
最大の野望は、大阪、札幌(このみさんの地元)、千葉に3店舗。
––––楽しみです!
・・・・・
このみさんが好きなものや人
生活を楽しむこと全部が繋がって
あの温かい作品たちが生まれているのだ
と思いました。
そんなこのみさんが
大切にしている言葉がこちら。
勇気をくれる言葉として
制作中いつも見えるところに
貼っているそうです。
悩みながらも前に進む姿が
かっこよくて、
好きなものがたくさんあること
愛情深い人でいること
創れることが
やっぱり自分にとっての正義だな
と再確認しました。
そして...見てください!
このみさんにオーダーして
作っていただいた
うさちゃんトレーナー!!!!
かわいいいいいいい
手書きのポストカードまで。。。
嬉しすぎる!
手渡されたのはトレーナーだけじゃなく
こめてくれた情熱と愛情と時間と遊び心、
自分のために作ってくれたっていう
一生物の体験。
こんな物作りがしたいなぁ..。
これから着るたび何度でも
人や自分を信じる
勇気をもらえそうです。
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