コーヒーのつなぐ物語(後編)
- 02:00
- 2020年9月19日
- 読了時間: 8分
更新日:2020年9月20日
梅谷さんインタビュー:実耶
神戸にある『ROUND POINT CAFE』
店主の梅谷さん。
(前編もどうぞ!)

後半では
これからの目標やそのきっかけ
目標の実現のために大切なこと
そしてコーヒーの魅力を伺いました!
・・・・・
––––梅谷さんの今の目標って何ですか?
変わらない目標、
ずっと先にある目標としては
アフリカ、今でいうとコンゴとビジネスをするってことなんですけど
そのビジネスを通して、そこに関係する村であったり地域の人の生活が少しでも良くなるような継続できるシステムを作っていきたいっていうのがあります。
––––それが自分の人生の目標なんでしょうか?
そう言ってもいいのかなあと。
それができたらとりあえず満足感というか、達成感はある気はします。
––––それってすごく人のためのことですよね。なんでそこに至ったんですか?
そういう意味ではひとつ大きな出来事が
あったといえばあったんですけど。
僕高2の夏休みに1ヶ月だけアメリカにホームステイに行ったんですね。その時に1人の男の子と出会って時間って無限にない、すごい有限だと気付かされました。
いつかやろう、やりたいことがあっても出来ないこともありますし。
彼と出会ってから、時間への向き合いかたが変わったというか、
なんかこんなのんびり生きているだけだったらすごい勿体ないなと思って。
これだけ恵まれた日本っていう環境で楽しく生活していて、でも一方他の国を見ると全然そうじゃない国も多い。そこにたぶん世界の構造的な理不尽さをすごい感じたんでしょうね。
その頃から途上国に対して何かしたいって思い始めたんだと思います。
高3くらいからですかね。

△生産国で見たコーヒーの実
ちょうどそのとき受験の時期なんで
「この学部に入ったらこういう仕事がありますよ」っていうガイドブックみたいなのをいろいろ見てるときに、
国連職員、国際公務員っていう国連で働く仕事があることを知って、最初はそれに興味があって。国連で働いて何が出来るんだろうっていうのを大学入ったころにいろいろ考えていたんですけど。
もちろん国際機関の役割って大きいので必要な組織なんですけど、国際機関とか政府ができることって大きな枠組みを作ることで、
本当に村々とか暮らしている人たちの生活に何かアクションをおこすとなると、別の活動主体が適している気がしたんです。
2000年くらいから開発援助のあり方も少しずつ変わってきていて、持続可能性と事業性という要素にも重きが置かれ始めました。
より地域に根差した活動っていうのを考えていくと継続性がやっぱりすごい必要っていうのはあって、お互いがいい形になる、ビジネスを通して底上げできるような仕組みが必要なのかなと。
学生時代のときはあんまり思いつかなかったんですけど、なんとなく形になってきたので独立した感じです。

△コーヒー豆を適切な値段で買い取り
現地のコミュニティに介入することは
労働環境はもちろん、教員環境など
生活全体の向上に繋がっていきます。
––––ずっと考えてきたことを実現していてすごいです。
やりたいことがあってもなかなか
踏み出せない人も多いと思うのですが
それについてはどう考えられますか?
やっぱり2つあると思うんですよ。
やってみたいけどやり方が分からない人と、
リスクを負いたくない・負えない人
の2つかなぁ。
––––本当にそうですよね。
やりたいことをやれるからこの環境がいいってさっき仰ってましたけど、それって自信がないとできないと思うんですよ。
自信はどうやってつくんでしょう?
自信は誰しもがないと思うので、
たぶん失敗したときのリカバリーをする方法を知っているか知っていないか、
そして周りの人たちの助けがあるかないかかと。
目標を設定しているとして、
目標を下回っているとき。
もうそれは現実で過去についてどうこう言っても仕方ないので、それをいかにして上げるかって考えをできるかどうか。
長い目で見て±0だったらいいと思うんですよ。今日1日すごいついてなかった、でも別に明日すごいついてるかもしれないですし。
やっぱり目標設定じゃないですかね。
それに対する問題認識ができれば、どうやって課題を解決していくかが明確になっていくと思うんですね。
あとは、
ネガティブにならないこと、ですかね。
出来てないことに対して。
僕も出来てないこと多いですけど、それを理由に落ち込んでも仕方ないので。
その出来てないことをちゃんと認識したうえで、じゃあどうやったら出来るようになるか、っていう発想の転換が出来るかどうかで前を向けるか下を向いたままなのかなぁと。
––––すごいなぁ、それが出来るって。
まぁやらなきゃ仕方がないので。(笑)
あとはリスクをとれるかどうかとか、リスクをとりたいかどうかは、その人それぞれのパーソナリティー、個性かなぁと思うので。
今までどんなことを経験されてきたかで変わる気はしちゃいますね。
僕の場合は、もちろん飲食店なんてリスクが大きい業種なんですが、幸いサポートしてくれる、応援してくれる人たちが周りにいたので、よかったのかなぁと。周りの人たちに感謝です。
たぶんそういう人たちがいないと、僕飲食店の経験なんて全く無いので何もできないと思うんですけど。コーヒーを入れることくらいしかできない。(笑)
––––行動してみたら、そういう人に恵まれていくイメージがあります。
動かないと何も変わらないとは思いますね。あとやっぱり言葉にするのが大事なのかなぁ。
––––そうですよね、そうしたらみんな応援してくれる。
やり方が分からない人はどうするのがいいと思いますか。
経験者に話を聞きにいくのがいいんじゃないですか。
––––私も梅谷さんに助けてもらいましたもんね。最後に、コーヒーの世界の面白さって何ですか?
美味しいと言ってもらえる喜びですかね。僕の場合はそれ以上に、作ったフリーペーパーにすごく質問してくれたりとか、「生産国のこと知らなかったです」っていう言葉の方が嬉しい。
一般的には飲み物としてのコーヒーを考えている人が多いので、美味しいと言ってもらえる喜びもそうですし、香りの楽しみですかね。個性的な香りがそれぞれするので、そんな楽しみもあるかなぁと思いました。

△私も梅谷さんに豆の違いによる
味や香りの面白さを教えてもらいました!
ハンドドリップコーヒーの
ワークショップもされています。
––––ほんとに、最初ここに来て「日常的な物の見方が変わるってすごい面白いな」って思いました!
コーヒーのつなぐ物語もそうですし、飲み物という観点でいうと僕はイタリアのエスプレッソ文化が好きなので、ぜひ飲みに行ってください。
ドリップコーヒーとかもちろん面白くて、それは抽出の面白さやコーヒーの豆の個性、コーヒーの良し悪しの面白さ、美味しさはでると思うんですけど
それとはちょっと違うエスプレッソ文化っていうのがイタリアにはあって。
––––えー気になる!
イタリアのエスプレッソ文化、というか
バールの文化ですかね。
日本のお酒を飲むバーとちょっと違って。
コーヒー以外にカクテルとかジェラードとかお菓子とか食事とか、何でも出してるいわゆるカフェなんですけど。
イタリア人朝昼エスプレッソをよく飲むので、朝来てカウンターでスタンディングでエスプレッソ頼んで、人によってはすぐサッと飲んでいく人もいますし、馴染みの人がいたらこんなちっちゃいエスプレッソ飲みながらちょっと話をしたりとか。お砂糖の入れ方もほんと人それぞれだったり。
夜も広場の周りにバールが結構あったりするので、夜テラスでコーヒーを飲みながら、
のんびりお話したりとか。
初めての街に行ったら、バールに行けば大体その街のこと、雰囲気も分かりますし、どこに行ったら何があるか分かる。
その地域のコミュニティが集約されているような、そんな日常に溶け込んだバール文化があるんです。
日本でそんな人と人とのつながりを作るものって、あんまりないと思うんですよ。
昔の江戸時代のお茶屋さんとか、もしかするとお団子食べながらそんなのがあるかもしれないですけど。
そういう人と人がオンラインじゃなくて、
ちゃんとオフラインで関係性を築けるコミュニティがバール。
そういうのに憧れがある。
なので、ぜひイタリアのエスプレッソを。
––––行ってみたい!人が絡むんですね。
梅谷さんはすごく人が好きなんだなと思いました。
僕はどっちかっていうとそんなに積極的に話しかけるタイプの人間ではないんですけど、そういう空間は好きかもしれないですね。
・・・・・
皆さんお気づきかと思いますが
今回かなり私の悩みに寄った
質問をしていたと思います。笑
自分がやりたくて始めたことも
プレッシャーや責任
自分の至らなさにばかりに目がいって
自信をなくしていたのです。
(完璧主義ゆえにネガティブ、、)
伝え上手な梅谷さんのお話は
(きっと目標を口に出すことを
続けてきたからこそなんだろうなぁ)
すっと自分の中に入ってきて、
前向きになる気付きばかりでした。
失敗や出来ていないことがダメではなく
それを受けてどうするかが
大事ということ。
ブレない目標をもつこと。
一気にそこに向かおうとするのではなく
寄り道しながら楽しみながら
ひとつひとつ積み重ねていくこと。
落ち込む時間は無駄かもな
と、この頃は思っています。
いつか必ずイタリアで
エスプレッソを飲む、
という夢も新しく出来たので
まずはもらったエネルギーを
目の前の熱中できるものに
当てていこうと思います!
それが実現するころには
ROUND POINT CAFEのコーヒーが
コンゴを、途上国を変えた
お話を聞けるんだろうな。
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